売却代金に含まれるものとは?
任意売却の債権者への配当交渉に関しては、不動産(自宅など)の価格と実際にいくら配当されるかがとても重要です。
また、その配分の中には仲介手数料などの費用も含まれるため、売却価格から必要経費として費用が控除され、その残りが債権者への配当金となります。
まずは、どんな費用が売却価格から控除されるのか整理してみます。
売主(不動産所有者)が任意売却をするにあたって依頼した業者へ支払う手数料のこと
これは宅建業法の規定に基づいて、売却価格が
- 200万までは5%+消費税
- 400万までは4%+消費税
- 400万以上は3%+6万+消費税
というように、売却価格によって計算が変わってきます。
抵当権の抹消手続きは司法書士にお願いするので、司法書士に対して支払う費用のこと。
抵当権者の数によって変わりますが、約5〜10万円程度になります。
抵当権抹消承諾料とか解除料と言えば少し分かりやすいかもしれませんが、抵当権者が1人(社)ではない場合、後順位(第2順位以降)の抵当権者に支払う配当金のこと。
債権者にとってみれば、競売になると後順位の抵当権者は本来ある債権(貸金)を1円も回収できない場合がありますが、任意売却の場合には本来ある債権よりもかなり低く少なくなりますが、少しでも回収できるというメリットとなります。
つまり、競売によって抵当権をただで手放す事を考えるよりも、小額でも配当計画がきちんとしていれば任意売却に応じてくれるのが一般的です。
なお、任意売却の後順位の配当金については、住宅金融支援機構の基準が暗黙のルールとなっており、
- 第2順位が30万円または残元金の1割のいずれかの低い額
- 第3順位は20万円または残元金の1割のいずれかの低い額
- 第4順位以下は10万円または残元金の1割のいずれかの低い額
となっています。
これらを滞納していた場合、決済日の前日までの分はマンションを売却するにあたり原則として支払わなければいけないお金となるので、売却価格から差し引かれます。
なお、過去5年分のみとなっています。
売主が引っ越しする際に必要な費用のことで、交渉次第で確保できる場合があります。
しかし、必ずしも優先的な費用とはなっていないので、業者の交渉力や売却価格によっては捻出できない場合もあります。
租税公課とは住民税や社会保険料、法人税、事業税(事業税外形標準課税部分を除く。)、消費税以外の公的機関に支払うべきものを租税公課といい、更には公的な課金、罰金、過料等の課金なども含まれます。
滞納している税金がある場合、抵当権と滞納税金のどちらに優先権があるのかについてですが、租税公課の法定納期限と抵当権設定登記日を比べて早い方が優先されます。
つまり、抵当権設定登記日よりも前に税金を滞納していたら税金が優先となり全額が配分されることになり、逆なら抵当権が優先ということになります。
なお、抵当権が優先される場合には、租税公課の配当額は10万円または固定資産税の1年分のいずれかの低い額というのが住宅金融支援機構の基準であり、これが暗黙のルールとなっています。
(抵当権については国税徴収法第16条、地方税法第14条の10、仮登記担保権については国税徴収法第23条、地方税法第14条の17)
実際の配分事例
ここまでに挙げたものが売却価格に関する控除費用となりますが、実際に上の基準に基づいて作成された配当例を紹介しますので参考にして下さい。
(例1)任意売却価格2380万円
・配当内容
@第1順位抵当権者(保障会社(もとは銀行))
2200万円=任意売却価格−(A〜Eの合計)
A第2順位抵当権者 (消費者金融)
30万円=基準によって残元金の1割よりも30万円が低い額となったため
B管理費・修繕費の滞納分 10万円
C抵当権抹消費用(司法書士手数料) 10万円
D仲介手数料(業者手数料) 80万=2380万×3%+6万+消費税
E引っ越し費用 50万=業者の交渉力次第
(例2)任意売却価格2000万円
・配当内容
@第1順位抵当権者(保障会社(もとは銀行))
1840万円=任意売却価格−(A〜Eの合計)
A第2順位抵当権者 (消費者金融)
30万円=基準によって残元金の1割よりも30万円が低い額となったため
B第3順位抵当権者 (消費者金融)
20万円=基準によって残元金の1割よりも20万円が低い額となったため
C抵当権抹消費用(司法書士手数料) 4万円
D仲介手数料(業者手数料) 66万=2000万×3%+6万+消費税
E租税公課 10万円=10万円または固定資産税の1年分のいずれかの低い額
F引っ越し費用 30万=業者の交渉力次第