生活保護受給者の訴え!「引き下げるな」は果たして通るか!?

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生活保護の引き下げは妥当か否か?

7-21 (2)埼玉県内で生活保護費を受給している方の一部がその基準額を引き下げられ、引き下げは

「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害する

もので憲法に違反しているとして訴えを提起しました。

そして、先日、その訴訟の第3回口頭弁論がさいたま地裁で行われました。

原告らは、「生活保護受給世帯の消費実態を無視している」と主張しており、

「引き下げは不当!」

「違憲だ!」

として国や自治体と争っています。

一方、生活保護受給者に対して、世間からは厳しい声もあがっています。


 

「毎月10数万円もの支給がある、しかも医療費は無料。それでも足りないっておかしい」
「本当に生活に困っている人だけが生活保護を受給するべきだ」
「年金より生活保護の方が多く受け取っている。年金だけで生活している人もいる」
「裁判で訴訟を起こす時間があるなら働いてほしい」
「生活保護は最低限を保障するもので、受給額相応の生活をするべき」


 

さて、生活保護の受給に関しては、実際に不正な受給をしている方がいることや、受け取ったお金をギャンブル等に使っている方が多くいる問題もあり、この裁判を起こした受給者に対しても厳しい意見が出ているところです。

この裁判の結末に注目したいところですが、そもそも、25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害しているとして訴えを提起していますが、25条は生活保護を保障するものなのでしょうか?

仮に保障するとした場合、どの程度の生活を保障するものなのか?を考えたいと思います。

そこでまずは、今回問題となっている憲法から見ていきましょう。

憲法第25条
1.すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

まず、憲法25条1項は生存権を保障しているものとなります。

そして、2項では、この生存権を実現するために国に対して努力せよと言っています。

ですが、ここで問題となるのは、生存権の保障の程度とはどの程度なのか?

国はどの程度実現すれば足りるのか?という点です。

今回の生活保護の裁判でも、この点の判断が最終的にはポイントとなるでしょう。

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25条の生存権は具体的な権利を定めたものではない!

7-22

さて、この25条の生存権の捉え方については3つの学説があります。

少し難しくなってしまうのですが、それが

  • プログラム規定説
  • 抽象的権利説
  • 具体的権利説

簡単に言うと、以下のとおりです。

1プログラム規定説

憲法25条は具体的な権利を定めたものではない。
つまり、国は生存権を実現するために努力さえすればいい。
必ずしも最低限の生活を保障しなくてもよいとする説です。

2具体的権利説

プログラム規定説とは全く正反対で、強く生存権を保護するという説です。

3抽象的権利説

プログラム規定説と具体的権利説の間をとる説です。

25条の生存権に関してはこの3つの学説があるのですが、どれを取るかで結果が大きく異なってきます。

そこで、これまでにも似たような裁判があったので、その判例を見てみましょう。

・朝日訴訟

これは今回の裁判と似たような裁判で、生活扶助費を受給していた朝日さんという方が、その受給額が

25条の「最低限度の生活水準」を維持するには足りない

として争われた裁判です。

これに対して裁判所が下した判断は、1のプログラム規定説を採用して、

「25条の生存権は具体的請求権を保障したものではない」

としたのです。

結果、最低限度の水準は裁判所が決めることではなく、厚生大臣の裁量で決められるとして裁判所は口を出さないという判断をしたのです。

また、堀木訴訟という判例もあるので紹介します。

・堀木訴訟

堀木さんという方がいて、この方は障害福祉年金を受給していました。

更に、児童扶養手当の申請をしたところ、児童扶養手当の受給は併給禁止にあたるとして却下されたのです。

そこで、児童扶養手当法の併給禁止規定が25条に違反するとして争われたのですが、最高裁は

「併給禁止規定は、立法府の広い裁量に委ねられている」

と判断しました。

結果的に、この裁判でも1のプログラム規定説が採用されています。

これらの判例を見て分かるように、生存権の保障という権利は広く認められているものではありません

したがって、今回の裁判でも生活保護費の引き下げが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を侵害する」とされるのはかなり難しいと考えます。

最終的に裁判所は、国や自治体は生活保護費を支給していることで25条の規定を果たしている。

引き下げや支給金額といった具体的な判断については裁判所が口出すべきではないとするのではないかと考えられます。

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