私はこうして自宅を手放すことに…
会社の業績が不振となり、収入が激減しました。
会社が退職希望者を募ったのを機会に転職することにして、退職金を少し多くもらって退職をしました。
家族は4人。妻と子供が2人いましたが、大手企業に在職していたのが自信となって転職先もすぐに見つかるだろうと…
しかし、そんなに現実は甘くなく、40歳を過ぎた私の転職活動は思うようにはいきませんでした。
結局、前よりも収入が落ちる会社に再就職はできたものの、住宅を購入する際の借り入れの支払いが困難となりました。
滞納が続き、銀行からの連絡がありましたが、払える見通しがなく、何と言い訳したらいいかも分からずで…
無視するというか、見て見ぬふりをしていました。
ついに競売申立て通知が!
とうとう裁判所から競売開始決定通知が届いてしまったんです。
もっと早く、何かしていたら…とは思いましたが、もう手遅れだと感じてしまったんです。
まだこの時点でも行動さえ起こせば何かが変わったかもしれませんが、私は無気力でした。
妻には転職するのを反対されていました。
けれど、絶対に今よりもいいところに就職するなんて強引に事を進めた私でした。
ですから状況が悪化した時にはそんな私に呆れてしまったんでしょう。
喧嘩も多くなり、子どもを連れて実家に帰ってしまいました。
離婚はしていませんでしたが、自分の情けなさに精神的に参っていました。
そんな状況の時に、競売の開始決定通知でした。
どうにかしなきゃなんて気力もなく「なるようになれ」という心境でした。
それに実際に競売が申し立てられたと言っても、すぐに出て行けと言われる事もなかったので、
もしかしたらこの家に居られるのでは?…なんていう甘い期待もありました。
ただし、現実はそんなに甘くはありませんね。
1年後のある日でした。
我が家を買った人から出て行けと言われたんです。
それも今月中になんて…。
「出て行って」と言われても私には新しい転居先がない。
引っ越しするお金もありませんでした。
しかし既に新所有者(落札者)も現れて所有権の移転をするとの事でした。
ついに、我が家は我が家ではなくなると気づいたんです。
私は出て行くしかないと始めて実感しました。
もし退去を無視すれば引渡命令や明渡訴訟の申立てをするとのお話もありました。
だけど、まだ「なぜ自分の家を勝手に取られたのか」に納得いかない自分もいたんです。
だから、せめて立退料や引越し費用を用意して欲しいと新所有者に請求してみました。
当然あっさり断られました。
ならば引っ越し費用を用意できるまではと思い、そのまま住み続けました。
強制執行による強制的な退去とは!?
私は引っ越し費用が用意できるまではと住み続けていたたわけですが、新所有者のほうもいつまでも待ってはくれません。
それまでの私の態度を見れば当たり前ですね。
交渉の余地がないと判断されたのでしょう。
本当に明渡しの訴訟を申立てられて、強制執行となってしまいました。
しかし、強制執行が申し立てられてからも、執行日までの間には明け渡しに応じる期間や機会はありました。
けれど私は全てが面倒になってしまい、そのまま家に住み続けてたんです。
そして、ついに強制執行当日となりました。
本当に執行官がやってきたのを見て、もうこれまでだと思いました。
執行官の指示通り、家を明け渡しました。
転居先を探す事もしていなかったので、全てを親に打ち明け実家に戻ることにしました。
競売・強制執行後の私
ちょっとした人生の変化によってここまでなるとは思いもしませんでした。
けれど、自分の責任と行動力、判断力のなさが起こした結果とも言えるでしょう。
あの時、妻が言うように転職なんてしなければ、もっと早くローン先の金融機関に相談していれば、誰かに相談さえしていれば…後悔してもしきれません。
そして今は自宅を競売した後も残った住宅を購入する際の借り入れ債務の返済をしています。
まだ800万も残っています。
違う方法を選んでいたらこの債務はもっと減っていたかもしれないと聞きました。
しかし、もう手遅れです。
やり直すためにも、今は自分の甘さに反省しながらその債務を返済していこうと思います。
私と同じように何の行動も起こさず競売となるのを待つ、全てを諦めてしまう人もいるようです。
しかし今だから言えるのは、何もしないで解決するなんて上手い話はないという事です。
歯車なんて簡単に狂います。
ですが、自分の行動次第で乗り切れる可能性、手立てはいくらでもあると思います。